学校にやっと着いた。遠い!!もっと近くにあればいいのに。そう思ったのは何回目なんだろう。
「瑠菜じゃん!久しぶり!!元気にしていた?制服、とっても似合っているよ!かわいい。」
「沙菜ちゃんだって制服お似合いです。あと、久しぶりですね。」
「瑠菜、どうしたの。緊張しすぎじゃない?大丈夫…?」
「元気だよ!」
今、話していた子は小学校の親友、橋本沙菜ちゃん。習い事のピアノが同じなの。目が二重で、頭がよくて、優しくて、かわいい子だよ!それに比べて私は…頭がよくないし、かわいくないし。いいことない。そう思っている。
「瑠菜!瑠菜!来てよ~早く!!」
何しているかわからないけど、沙菜ちゃんはたくさんの人の中にいる。そんなに呼ばれたら、走ったほうがいいのかな。でも、私は、人がたくさんのところが苦手。だから、都会は嫌い。だけど、田舎すぎることも嫌だし…。やっぱり、この町みたいな都会でも、田舎でもない、そんなところが一番いいな。
「瑠菜っ!遅い!まぁ、いいや。奇跡が起こりました!さあ、なんでしょうか。」
急に奇跡とか言われても困る。奇跡って、ないと思うけどな…。
「わかんない。」
「しっかりと考えていないね。瑠菜、あのね、なんと…クラスが同じになっているよ!」
ほんとなのか、信じたいけど、そんなわけないという気持ちがどうしても勝ってしまう。だから、自分で確認することにした。クラス分けの表を見てみると、一年二組のところに私の名前がある。それは普通か。その前の出席番号の子が、沙菜ちゃんだった。同じになるなんて思ってもいなかった。
 クラスごと、教室に移動することになった。教室が三階。一年生でそんなことになるのだとは思ってもいなかった。
「一年二組の担任となりました、堀川みさとです。一年間よろしくお願いします。入学式まで、時間があるので、生徒手帳に住所と、電話番号を書いてください。わからない人は、お家で書いてきてください。あと、名札もつけてください。」
生徒手帳って、小学生の時はなかったから、違和感があるけど、お母さんが言っていたな。そんなことを思っていたら、入学式の時間になっていた。
「体育館のことは、アリーナというので、体育館シューズをこれからは、アリシューと呼びますね。さあ、アリシューに履き替えて、廊下に並んでください。今回は、番号順に並んでね。移動します。」
 体育館…アリーナは、驚くほど広い。ステージにあるカーテンのようなものは、小学校と比べ物にならないほど豪華だった。校長先生の話は、意外に短かった。
「それでは、二年生の先輩たちが校歌を披露するの聴いておいてください。」