人竜大戦(じんりゅうたいせん)」という、世界中を巻き込む大規模な戦争が、4年もの間続いた。

読んで字の如く、人間族と竜族の、種の存続をかけた殺し合いだ。

遥か昔から地上に君臨していた高潔な竜族は、力の劣る人間達がこの地に我が物顔で繁栄することを許さなかった。
小さく弱い人間達は、竜に虐げられることを恐れ、銃器や刀剣など、竜に対抗し得るあらゆる武器を開発。それを用いて、竜達の爪や牙や、竜を守る炎に立ち向かった。

4年もの間、人間も竜も急激に個体数を減らし続け、やがて竜族の一頭が「この大戦は不毛だ」と気付く。両種族を護るため、人と竜は和平を誓い、互いを二度と侵さないことを誓った。……表面的には。

2つの種族が共存する所に、必ず意見の衝突は起こる。
そのため、人と竜の直接交渉は固く禁じられ、その代わりとして、両種族の交渉を取り持つ「仲介者(ちゅうかいしゃ)」が配されることとなった。


終戦から10年が経った今も、「仲介者」は密やかに、人と竜の間を取り成す重要な役割として在り続けている。