(女性視点1)
中山君とつきあい出して、私は変わったような気がした。前はそんなにおしゃれに気を遣うことなどなかったけれど、彼は大人っぽい女の子が好きなことに気がついた。だったら私も大人っぽく見えた方がいいのかと思って、パーマをかけたり、デートの時は口紅を塗ったり、ネックレスをつけたりしてみた。すると中山君は、目を細めて喜んでくれた。
「すごいかわいいよ。今までもよかったけれど、今の方がぐっといいよ!」
そう言って、私の手を引いてデートに連れ出してくれた。私の行きたいところなら、どこへでも連れて行ってくれた。水族館、美術館、映画館、遊園地。デートの定番のところはどこへでも。でもアイドルと和彦の話になると、急に仏頂面になってしまった。
「俺といる時は、アイドルの話はするな。それから学校で、小林とも話をするな」
「えっ、アイドルはともかく、和彦と話しちゃいけないの?」
「小林だけでもないさ。男性なら誰でもそうだ。今美樹は俺とつきあっているんだ。俺だけを見ていて欲しい。それだけだ」
『嫉妬?』と思ったけれど、しかたないのかなと思った。でも、和彦と今まで通り話せないのは正直つらかった。今まで和彦としゃべらなくなるなんて、一度もなかったのに。
誰かとつきあうってこういうことなの?
家の自室で思わず自分に問いかけていると、とたんに寂しさが忍び寄ってきた。ずっと一緒だった和彦。まるで何かに切りつけられたみたいに胸が傷んだ。
「だってしょうがないじゃん。和彦には好きな人がいるんだもん」
呪文を唱えるようにその言葉を呟いた。
好きな人がいるから、あの時和彦はつきあうなって、言わなかったんだよね。あの日の放課後がふと蘇る。だから私は中山君とつきあうと言ったんだ。今更取り消せない。それにつきあっていると、中山君のいいところもいっぱい見えてくる。荷物重いと持ってくれるし、私が体調悪そうな時は、すごい心配してくれる。気づくと中山君のこと好きになり始めている自分がいた。本気で好きになっていいのかな、私。
中山君とつきあい出して、私は変わったような気がした。前はそんなにおしゃれに気を遣うことなどなかったけれど、彼は大人っぽい女の子が好きなことに気がついた。だったら私も大人っぽく見えた方がいいのかと思って、パーマをかけたり、デートの時は口紅を塗ったり、ネックレスをつけたりしてみた。すると中山君は、目を細めて喜んでくれた。
「すごいかわいいよ。今までもよかったけれど、今の方がぐっといいよ!」
そう言って、私の手を引いてデートに連れ出してくれた。私の行きたいところなら、どこへでも連れて行ってくれた。水族館、美術館、映画館、遊園地。デートの定番のところはどこへでも。でもアイドルと和彦の話になると、急に仏頂面になってしまった。
「俺といる時は、アイドルの話はするな。それから学校で、小林とも話をするな」
「えっ、アイドルはともかく、和彦と話しちゃいけないの?」
「小林だけでもないさ。男性なら誰でもそうだ。今美樹は俺とつきあっているんだ。俺だけを見ていて欲しい。それだけだ」
『嫉妬?』と思ったけれど、しかたないのかなと思った。でも、和彦と今まで通り話せないのは正直つらかった。今まで和彦としゃべらなくなるなんて、一度もなかったのに。
誰かとつきあうってこういうことなの?
家の自室で思わず自分に問いかけていると、とたんに寂しさが忍び寄ってきた。ずっと一緒だった和彦。まるで何かに切りつけられたみたいに胸が傷んだ。
「だってしょうがないじゃん。和彦には好きな人がいるんだもん」
呪文を唱えるようにその言葉を呟いた。
好きな人がいるから、あの時和彦はつきあうなって、言わなかったんだよね。あの日の放課後がふと蘇る。だから私は中山君とつきあうと言ったんだ。今更取り消せない。それにつきあっていると、中山君のいいところもいっぱい見えてくる。荷物重いと持ってくれるし、私が体調悪そうな時は、すごい心配してくれる。気づくと中山君のこと好きになり始めている自分がいた。本気で好きになっていいのかな、私。