入った、ダイニングルームに。


彩珠(あじゅ)と一緒に食べようと思って」


 テーブルには。
 すでに用意されている料理が。


料理(これ)空澄(あすみ)が?」


「一人で暮らすようになってから
 自分で用意(する)ようになってさ」


「ごめん、
 お世話になってるから
 本当は私がしなくてはいけないことなのに……」


 空澄に料理まで用意してもらうなんて。


「『お世話に』って、
 特に何もしてないけど」


 それでも。
 言ってくれる、空澄は。
 気遣いの言葉を。


「そんなことない。
 安心して眠ることができたのも、
 空澄が家に入れてくれて部屋を貸してくれたから。
 空澄には感謝してもしきれない」


 こんなにも良くしてもらって。
 恵まれている、ものすごく。

 そう思えるのも。
 空澄のおかげ。


「そんなの当たり前のことをしただけだ。
 友達が困っているのに放っておくわけないだろ」


『友達』

 空澄がそう言ってくれると。
 響く、心に。