現実の世界に戻り。
「また今夜」
 私たち五人はそう言い合って。
 帰って行く、それぞれの家に。


彩珠(あじゅ)


 そのとき。
 呼んだ、空澄(あすみ)が。
 私のことを。


『彩珠』

 呼ばれる、空澄から。
 下の名前で。


 そのことは。
 まだ慣れない、やっぱり。

 ……というか。
 なんだか照れくさい。
 そんな気持ちになる。


「方向、同じだよな。
 途中まで一緒に帰ろう」


 空澄の言葉に。
「うん」
 そう返事をした。