「それから、
全国各地に存在する出入り口には担当者がいるの」
「担当者?」
「ええ。
私のような案内人という役割の人たちが」
「そうなんですね」
案内人。
確かに。
そういう人たちがいなければ。
不安になってしまうかもしれない。
私の場合は。
那覇が一緒にいるから救われた。
だから。
心強いと思う。
惺月さんのような案内人の人がいてくれた方が。
「話は変わるんだけど、
『心が呼吸できる世界』は年中、夜が来ないの」
「そうなんですか」
「ええ。
だから、ずっと朝か昼の状態なの」
来ない、夜が。
それは、どういう感じなのだろう。
「天気は現実の世界と同じで
晴れ、曇り、雨、ちゃんとあるわよ」
笑顔で惺月さんがそう言った。