「こんにちは、空澄(あすみ)くん」


 開けた、ドアを。



 その瞬間。
 視界に入ったのは。


 受付台のようなカウンター。

 そして。
 カウンター(その)向こうに。
 立っている、一人の女性が笑顔で。


「こんにちは、惺月(しずく)さん。
 あっ、ここにいるの新入りです」


 惺月さんという女性(ひと)に。
 簡単に紹介した、那覇は。
 私のことを。


 惺月さんという女性(ひと)は。
 那覇に向けていた視線。
 向けた、私の方に。

 そして。
 カウンターの中から出て来て。
 私の目の前に。


「はじめまして、惺月(しずく)といいます。
 よろしくね」


 やさしい笑顔の惺月さん。



 惺月さん。

 とても美人な女性。
 上品で優しそうなイメージ。
 長くてサラサラとした淡いブラウンの美しいストレートヘア。
 純白なワンピースが眩し過ぎるくらいに美しい。


 その姿は。
 見惚れてしまう、同性の私も。


「はじめまして、南瀬彩珠(あじゅ)といいます。
 よろしくお願いします」


 している、緊張を。

 それだからか。
 なってしまった、強張った表情(かお)に。


「そんなに緊張しなくてもいいのよ。
 この世界(ここ)は心のリフレッシュ、
 そして心の回復をするための世界(場所)だから」


 そうなんだ。


 この世界(ここ)は。

 心のリフレッシュ。
 心の回復をする。

 そのための世界(場所)


「それからね、
 この世界(ここ)には特に決まった名前はないのだけど、
 心が呼吸できる場所であってほしいと思うの。
 だから、名前を付けるのなら『心が呼吸できる世界』かな」


 心が呼吸できる世界。



 心のリフレッシュ。
 心の回復をする。

 そのための世界(場所)


 それなら。
 ピッタリだと思う。
 その名前は。