「……ここは……?」


 真っ白な光の中。
 そこを三十秒くらい歩き。
 通り抜ける。

 そうすると。
 広がっている。
 自然がとても美しい景色が。


「きれいな世界(ところ)だろ」


「うん、
 きれいだね」


 広がる、緑が。

 咲いている。
 美しくかわいらしい花たちが。

 揺れている、穏やかに。
 草たちが風に乗って。


 そんな美しい自然。
 美しい世界。



 そんな美しさに。
 見入ってしまう、瞬きも忘れて。


「南瀬」


 そんなとき。
 呼ばれた、那覇に。





 忘れる、周りのことを。


 それくらい。
 なっていた、夢中に。

 見る、美しい景色を。
 そのことに。



 だから。

 聞こえた、那覇の声が。

 その瞬間。
 ハッと我に返った。


「初めてこの世界(ここ)に来た人は、
 寄らなければいけないところがあるんだ」


「寄らなければいけないところ?」


「あぁ」


 一体どこに寄るのだろう。