「なら行くぞ」


「……?
 行くって、どこ……」


 言い終わる、全て。

 その前に。
 掴んだ、那覇が。
 私の腕を。


「那覇っ⁉」


「おいっ、
 何暴れてるんだよ」


 言っている、那覇は。
 そんなことを。


 だけど。
 当然だと思う、暴れて。

 那覇が私の腕を掴み。
 入ろうとしているのだから。
 真っ白な光の中に。


南瀬(みなせ)真っ白な光(これ)が見えているのなら、
 真っ白な光(これ)は南瀬にとっても必要なものなんだ」


 必要?

 真っ白な光(これ)が?


「だから、
 入ろう、一緒に」


 私の目を見る那覇の瞳。

 澄んでいる、純粋過ぎるくらいに。





 不思議。



 見ている、那覇の瞳を。


 そうすると。
 思えてくる。
 大丈夫かも、と。

 何の根拠もないのに。


「……うん」


 だから。
 頷いた、ゆっくりと静かに。



 那覇は。
 やさしく声をかけてくれた。
「ゆっくりでいいから」と。

 そのときの那覇の表情(かお)
 思えない、クールとは。
 それくらい穏やかで。


 那覇の。
 やさしい声を聞き。
 見た、穏やかな表情(かお)を。

 そうしたら。
 できた、安心して落ち着くことが。





 そうして。
 私と那覇は。
 入って行った、真っ白な光の中に。