あちこち探すと言っても、そもそも家具が少ないし、クローゼットもない。

 そもそも探すって何を? という話だし。

 とりあえず、法的にヤバい写真とかうちの学校の生徒宛てに書いたラブレターとか……。

 お母さんもこれはやってられない、という証拠があればいい。

 私はそこまで考えてふと思う。

 あるのか、そんなもん。

 複雑な気持ちだけど、今さらやめられなくて近澤の部屋を漁った。


 気分はまるで空き巣。

 こんな気持ちを16歳で味わうことになるとは……。

 今後はまっとうに生きよう。

 そんなことを考えつつ手を動かしていたら、引き出しだの棚の奥だの何かを隠せそうな場所は、すべてチェックし終えてしまった。

 おかしい、何も出てこない。

 私は顎に手を当てて考え込む。

「そもそもこの部屋、お母さんが掃除するから変なものを隠せないのでは……」

 気づくのが遅すぎた!

 とりあえず私は近澤の部屋を出ることにする。

 午前11時過ぎているので、そろそろ奴が帰ってくるかもしれない。

 ぐるりと部屋を見渡し、それから机の引き出しが少し空いていることに気づいた。

 これではバレてしまう、と思い、引き出しを閉め直そうとしたその時。

 引き出しの底のほうに何かがあるのを見つけた。