別れを告げたあの日から、胸に穴が空いたような虚しさに襲われた。

 一緒にいる時間を作るための帰り道の待ち合わせも、そのたびに連絡しあったやりとりも、あの日を境にパタリとなくなって、どこかにいるんじゃないかと君の姿を探している自分がいる。
 スマホの中には君とのメッセージの履歴と、いろんなところで君と撮った写真ばかり。消そうと思っても削除ボタンがどうしても押せない。

 あの日からずっと、別れを告げた時のことが頭を過ぎる。
 長く一緒にいたはずなのに、あの時の君だけはどうしても思い出せない。
 笑った君の顔は、スマホの中に保存されている以上に覚えているのに、あの日だけは(もや)がかかったように君が(かす)んでいた。