大学への進学は、君との時間が減ることを告げていた。
 ずっと興味があったことを学びたくて進学した私に対し、君は自宅から通える距離の大学を選んだ。
 高校の時は真逆の方向にあった家が、私が一人暮らしを始めたきっかけで近付いたこともあって、同じ最寄り駅になる。
 君にそれを伝えたら、少しでも一緒にいる時間を作ろうと、帰りに駅前で待ち合わせをするようになった。
 私の家に着くまでにどこまで遠回りできるか、なんて話をして二時間も伸ばしたときは「なにやってるんだろう」って笑ったね。
 春は公園の桜並木を散歩して、夏はコンビニでアイスを買って食べながら。
 秋になっても残暑は続いていたのに、一気に冬がやってくれば「手袋を忘れた」と理由をつけて手を繋いだ。君らしくもなく、手を掴んでポケットに突っ込んだ時の、私の驚いた顔は、きっと真っ赤だったに違いない。
 でもね、君も同じように耳を真っ赤だったの、気づいていないでしょう?