手が濡れてる。
ハッ
目が覚めた。周りを見るとさっきの灰色の羽のやつが血だらけにって倒れていた。そして私の手は鮮やかな血の色。どうしよう。私がやったんだ。刺激がどうとかの問題じゃない。私が殺したんだ。私の髪と爪はすっと元の色に戻った。手は赤いまま。どうしよう。
警察に行く?
私が考えていると白い羽の人が地面降り立ち青ざめた顔で私を見ていた。白い羽の人がを振ると白みがかった板のような物が現れた。わたしと白い羽の人が乗るとそれは動き出した。浮き上がって空に登っていく。街が小さくなっていく。下には私がいた小さな町が広がっていた。雲を抜けると太陽のヒカリが私を包んだ。きれいという言葉では足りないほどの美しさだ。景色を見ていると不思議と心が落ち着いた。手についていた赤い血は消えた。そして黒い髪をしたやつも私の頭から消えた。白い羽の人は何も喋らなかった。私も喋らなかった。今はただこの綺麗な景色を見ていたい。そう思った。このあとどうなるのかな。
羽が生える?
空の世界で暮らせる?
どんな風になっても大丈夫。そんな夢何度も見てきた。こんなふうになる日が来ればいいのにって。そんなことを考えているうちにがうごくスピードが緩みそれは止まった。ワクワクする。何が待っているんだろう。白い羽の人は何もない空中に手を出した。すると空中が歪んだ。白い羽の人が私を見た。何か言われるのかと思ったら何も喋らず白い羽の人はまた私の手を掴んだ。そして歪んだ空中に向かって踏み出した。目の前が真っ白になる。目をゆっくり開けるとそこは私が想像していたような世界だった。見たことないくらい真っ白な壁の大きなお城が静かに、美しくそびえ立っていた。夢でこんな感じのお城を想像したことはある。けど自分の目の前で自分の目で見たお城は想像よりもずっと綺麗だ。こういうお城には大体女王様がいるってきまってる。でも目の前のお城を見ると自信をもって言えないかも。でもこんな綺麗なお城にいない方がおかしいよね。早く入ってみたい。そう思って下を見ると街が広がっているはずの景色は綺麗な薄い水色のタイルのようになっていた。綺麗だと思う感情と同時に疑問が浮かんできた。なんで街が見えないんだろう。
地球じゃないってこと? そう思ったとたんなんだか怖くなってきた。
大丈夫。落ち着こう。さっきまで地球にいたんだから。そう考えているとまた白い羽の人が私を見た。こんどは前を向いてお城の扉に向かって歩き出した。私は白い羽の人についていった。お城に近づけば近づくほどに一層綺麗に見えて来る。白い羽の人が扉を開いた。
そこは水色やピンク色などの淡い色の壁があって広間のような感じだった。右側には階段がある。白い羽の人は階段に向かい登り始めた。広い部屋に私の足音だけが響く。二階が見えてきた。二階は扉がいくつも壁に並んでいた。白い羽の人は二階を通りすぎて登り続ける。三階は二階の扉よりも一回り大きな扉が一つあるだけ。白い羽の人が扉を開ける。