わたしは、人の余命を見ることができる。
 でも、そのせいで今まで何度も辛い思いをした。
 余命を見ないように。見てしまっても、悲しまないよう関わらないように。余命が短かった場合の為、人と関わらないように。何度も言い聞かせ、俯き、空気のように生きてきた。
 そんなつまらない人生に、一筋の光が差した。

 毎日毎日、同じように時が過ぎる。
 毎日毎日、空気のように俯いて過ぎていくつまんない人生。
 ——わたしは、生きる意味があるのかな。

「おはよ、星羅!(せいら)なに、どしたのそんな暗い顔して」
 背中をバシッと思いっ切り叩かれ、痛みにハッと我に返った。
「おはよ、さっちゃん。ってか叩かないでよ、痛いんだから」
「え、ごめん!ごめんね!え、ごめん!」
「わーかったわーかった!んもう、しつこいってば!」
「え、ごめん!ご——」
「よーしさっちゃん、ちょっと黙ろうか」
 他愛もない事を親友の咲穂(さきほ)と話す。
 特別仲が良い人は、何故か余命が見えないから不思議だ。でも、顔を俯けず話すことができるから、たったの数分でも楽しい。