学校の目の前にある大きな道路は、歩行者用の信号が青になるまで時間がかかることで有名だ。

学校での長い１日が終わり、クラスメイト達は友人と挨拶を交わしている中、私は誰とも挨拶を交わすことなく教室を後にする。

廊下や昇降口には、部活へ向かう人や誰かと待ち合わせをしている人で既にごった返していた。
そんなことは気にせず１人昇降口から出ると、疲れきった私の体は解放感に浸る。疲れていたことなど、とっくに忘れてしまっていた。足取りは軽い。

目の前に見えてきた信号は青だった。ここの信号は青になるまでに時間がかかることで有名だ、自然と駆け足になる。

｢よし、渡れそうだ」
少し安心し、信号の少し前でペースを落とす。
すると、そんな私を嘲笑うかのように青信号が点滅しだし、赤信号に捕まってしまった。
「しまった。」
今日はついていない。

なかなか青にならない信号に苛立ちを感じながら待っていると、同じ制服を身にまとった高校生達が次々とやってくる。

〝昨日のあの動画見た？〟
〝今日の授業だるかった〟
などといった会話が聞こえてくる。

どの人達も友人達と下校をしているようで、どうやら１人でいるのは私だけのようだ。

ワイワイと楽しそうな会話に少し耳を傾けていると、孤独感が生まれ、まるで世間から私の存在が消えたかのような感覚になっていると、私はふとあることが頭をよぎったのだった。

―今、道路を飛び出しどうなるのだろうか―