青い空に白い雲が流れる。
セミの声が今年もにぎやかだ。

大きなトランクを引き、電車から降りた私は何年経っても変わらない風景の場所にいた。
相変わらずバスは一時間に一本しか無くて、停留所の看板は錆びていた。
8年前、父と歩いた道をひとりで歩く。
子どもの頃は地獄のような道だったように思うけれど。
大人になった私には、それほどのことじゃなかった。

私は、村役場の臨時職員になった。
夏の終わりから働き出すんだけれど、亡くなった祖母の家を住めるように片付けなければならない。
それに―――。