同年代の男の子ってなんかイヤ。
 うるさいし、幼稚くさいもの。
 親戚のユミお姉ちゃんみたいに年上のカッコいい男の人が彼氏だったら良いのに。
「姫里のパンツ白ォー!!」
「っ!!!」
ほら、こうやってすぐに女の子の嫌がることをするんだから。
「山川ぁぁーーーーッ!!」
わたしが拳を振り上げて怒るとゲラゲラ笑う。
「夏川こっえぇーーーッ!!」
そして、すぐさま仲間たちと一緒に逃げていく。
「姫ちゃん、大丈夫?」
スカートをめくられた友達の姫ちゃんは、白い顔を真っ赤にして、ぷるぷると震えていた。
 目尻には涙が浮かぶ。
「さくらちゃん・・・・・・う、ううぅ・・・・・・ッ」
何の恨みがあるのかと思うほど、姫ちゃんをイジメる。
 その代表が、サルみたいな顔の山川ユウタというヤツだ。
 お調子者で多くの男子を引き連れて、女の子たちにイタズラをする。
 その中でも姫ちゃんにだけはアタリが強いのだ。

 同年代の男子なんて嫌い。
 わたしはボロボロ泣いている姫ちゃんをなだめながらタメ息をついた。
 カッコよくて親切で男前で、それからおもしろい人が好き。

 背負ったランドセルがずっしりと重く感じた。
 今日も東京の空は灰色だった。