この瞬間が一番ドキドキする。
「○○」
僕の名字が呼ばれ僕は席を立つ。
先生から一枚の小さい紙切れをもらい席に戻る。
「……」言葉が出ない。
あれだけ努力したのに、涙も出ない。
クラスの中に一人、「しゃああ!!!」と叫んでいる子がいた。
その子は学校終わりに毎日遊び歩いている僕の友達。
その子は、先生に名前を呼ばれた。
クラス一位の称号が、その子の手に渡った。
「○○は陰でたくさん努力してるんだな、みんな見習うように。」と先生の言葉。
怒り、悲しみ、自分の非力さが渦巻く僕の胸の中。
『陰でできるような努力しかしてないやつに負けた。』
それが悔しくて、悔しくて。
僕は陰の努力なんか絶対しない。
そして今日もまた、僕は机に向かう。