ビールを飲み終えると、私はゆっくりと立ち上がった。

宴は終わり。帰って寝よう。

砂浜には石や貝殻にまじって踏んだら痛いモノも結構転がっている。それに警戒しながらちまちまと足を進め、私はおでん鍋のもとへと向かった。

夜だからだろうか。
宴会場に近づくにつれ、私は敏感にある違和感(・・・)を感じ取っていた。

何かいるのだ。
もしかして、野犬ーーー?

闇にうごめく『何か』に目を凝らしつつ、慎重に距離をつめる。