半年前の、冬のある夜。
私たちは仲良くモツ鍋をつついていた。

土曜の朝から評判のホルモン専門店に並び、奮発して手に入れたふわっふわの小腸をニラとあわせてこってりと仕上げる(もちろんヨータが)。

出来上がった鍋は控えめに言っても絶品だった。
それは、ひとくち頬張った瞬間にカッと目が血走るような美味しさで、あの時の衝撃を私は今でもよおく覚えている。

だけど。

それがよくなかったのだ。
ビールが進みすぎた。

そろそろ結婚しないかと言い出したヨータに私はーーー
「アンタ稼ぎもないのにどーやって生活していくつもり? 子供できたらどーすんの?」
などど返してしまったのだ。最悪だ。
その後の記憶は曖昧なのだが、ヨータ相手に偉そうに説教をかまし続けたことだけはウッスラと覚えている。

そして翌日の昼。
目が覚めた時には、すでにヨータの姿は部屋になかった。
何も言わずに出て行ったヨータは、半年たった今も戻ってこない。