短編 おでんの夜

胸元にぴったりはりついて離れなくなった私に、ヨータが機嫌のよさそうな照れ笑いをもらす。
「へへへ。わかった。ありがとう」
脇腹のあたりに遠慮がちに添えられていたヨータの手が、安心したように背中にまわる。
そしてそのまま、ヨータはすとんと私を後ろに押し倒した。

「うわ!!」

思わず床についた左手にカツンと走った硬い衝撃。
それとともに薬指の拘束がフッと解ける。

「・・っあーーーー!!!」

真っ二つに割れた指輪が、右と左にわかれて床に転がった。

「うそ、どうしよう!」

慌てふためく私をがっちりと組み敷いたまま、ヨータがチラッと指輪に視線を投げる。

「いーよ、大丈夫。また作るから」
「え、ヤだ! 私これがいい。ボンドでくっつけて修理する!」

しかし、かけらを拾おうと伸ばした手はすぐさまヨータに捕まって、しっかり床へと縫い付けられた。

「いーって。そんなの後にして。それよりーーー」