短編 おでんの夜

もう20代も後半にさしかかり、私もヨータも十分結婚適齢期。
ヨータが結婚を考えてくれてたみたいに、もちろん私だってヨータとの結婚を意識してた。
そもそも無職の男がイヤだってゆーならこんな時期にヨータみたいな男とつきあったりしない。逆に、無職の男を好んでつきあってるってるわけでもない。

ヨータだからつきあってる。
それがこの半年で身に沁みた。

私にとって何よりも大切で、他の何にも代え難いもの。
それはヨータとすごすなんでもない毎日だった。

だから万一こんな日がきたらーーーヨータに再会できるチャンスに恵まれた時には、ダメ元でもなんでも、絶対に絶対にこう言おうって思ってた。

「ヨータのそばにいたい。死ぬまでヨータと一緒にいたい」

「菜緒ーーー」

私を首にぶらさげたまま、ヨータが声を詰まらせる。

「だからもう絶対に私をおいていかないで」