「ホントにこれでいいの? もっと尖ったモノ、作りたいんじゃないの?」

そう言う私にニヤリと頷いたヨータが、リュックの中からすんごい不思議な形をした『何か』を取り出した。
「こーゆうのもある」
「なにこれ?? どー見るのが正解?」
一カ所穴があいているから、この穴が上なのかーーー?
謎の陶器をしげしげと眺める私の手をヨータがそっと包んで、すこーしだけ向きを整える。
「違う違う、コッチね。穴が正面」
「ふうーーーんん・・??」

それは花器だった。
お花を飾るモノ。

「食器とは別に、こーゆうのも作る」

同じお皿をたくさん作るのも、世界にたったひとつの花器を作るのも、どっちもそれぞれに楽しいのだとヨータは言う。
だから全然苦にはならないし、やりがいもある。

なるほどね、と。

ざらっとした手触りの不思議な花器を撫でながら私はゆっくり頷いた。
日常の陶器と非日常の陶器。
いいじゃないか。きっと楽しい。

ものを作るのが大好きな(ひと)だから。
ヨータなら市井の陶芸家としてリッパにやっていけるのかもしれない。