どーん!とヨータを突き飛ばし、私は胸の前でガッチリと腕を組むとボディタッチ断固拒否の態勢をとった。

「んでもさ? 連絡くらいくれてもよかったんじゃないの!? 私はいっぱい連絡したのに、ヨータは電話もメッセージも全部ムシだった!」

キリキリと眉を吊り上げて怒る私に、「だって菜緒が恋しくなるから・・」とヨータがつぶやく。

「だからってブロックまでする!?」
「ーーーオレ、それぐらいしとかないと絶対連絡とっちゃうもん」
「連絡取って何が悪いの!? あんなの酷すぎるッッ!!」

そう。私は。
ヨータにブロックされ、着信拒否され。
完全に連絡を絶たれての放置プレイだったのである。半年も。

「んでもあの夜、オレちゃんと話したよね? そーいうふうにするって」
「そんなの知らない」

だって記憶がないんだもん。わかりようがないじゃないか。
だからブロックに気がついた時は、ショックでショックで。

「ゴハンも喉を通らなかった!」
困り顔のヨータが私を抱きよせた。
「まさか菜緒が覚えてないなんて思わなかったんだよ、ゴメン」

逆ギレする私を母親のようにあやしつつ、しかしヨータは「でもさあ」と不思議そうに首をかしげた。

「んじゃなんで菜緒はこんなド真夏に一人でおでんなんか食ってたの?」
「それはーーー」

実は私にもよくわからなかった。
ただ、『おでん』でなければならないような気がしたのだ。どうしても。



「・・ヨータと約束したことウッスラ覚えてたんだね、きっと」