話を聞いてみれば、ヨータの失踪は私に愛想を尽かしての出奔などではなく、陶芸修行のためだった。
ヨータには隣県に、白髭の仙人のような風貌の浮世離れした師匠がいるらしく、その師匠の工房に住み込みで働きながら「みっちりしごいてもらってた」のだという。

半年前のあの夜、私に無職を指摘されたヨータは一旦彫刻とは距離をおき、『食える芸術』の技を身につける決心をした。
で、彼が選んだのが、昔少しだけかじったことのある陶芸。

ベロベロに酔っ払っていた私がつぶれた後、ヨータは深夜にひとり荷造りをし、眠りこける私に別れを告げて始発の電車に飛び乗った。

『次の冬までには必ず帰ってくる。帰ってきたらオレの作った土鍋で一緒におでんを食べよう』って、私とちゃんと約束をして。

「『ヨータ、大好き。待ってる』って言った」
「そ、そうなんだあ・・全っっ然覚えてない・・」