……………
………
…
薄暗い校舎の1階、生物・飼育部と書かれたプラカードのある教室の前。蝉の鳴き声が仄暗い廊下に響き渡る。
7月、試験終わりの日曜日。有真たちがバードウォッチングに出かけ、雛子の涙が有真たちを助けたちょうどその時…
「ムカつくムカつくムカつく!」
「ねぇ今日急に呼び出してどうしたの?」
「羽折さん、生駒くんと遊び行くって言ってなかったっけ?」
複数の女生徒の声が廊下に木霊していた。
「遊びに行けなくなったのよ!ほんっとムカつく!あんだけ嫌がらせしてもアイツ、まだ部活やってるんだよ?」
その内の一人、羽折さんと呼ばれたリーダーっぽい女の子がキツそうな目をさらに釣りあげて怒りをあらわにした。
「えー、それな?」
「なんか根性あるよねー」
「今日だって生駒くんと一緒に部活で山まで行ってるらしい」
「まじ〜?山とかまじできつーい」
「それな?日に焼けるしよく行けるわ」
イマドキの女の子らしい会話。いや、少しませていてどことなく嫌な感じを持つ会話。
そのまま彼女たちは古びて壊れた鍵のついた生物・飼育部の部室を開ける。今は生物不思議研究部、通称『不思研』が部室として使っている場所。
「ピィッ?」
いつもと違う人達が入ってきて、ピィちゃんが不思議そうに鳴く。
「嫌がらせのレパートリーも尽きてきたじゃん?バレないようにやるのもなかなかムズいし」
「たしかに」
「言えてるー」
「こんなとこがあるのがいけないんだ」
部室に無断で入る彼女たち。
「部室、めちゃくちゃにしてやろーかなーって」
「えぇ?そんなことしたらバレるくない?」
「大丈夫、この鳥がやった事にすればよくね?テキトーに籠横倒しにして扉開けとけば逃げようとして暴れたって感じでるっしょ」
「めっちゃ頭いいじゃんそれ」
「でしょ?言うこと聞かない鳥がいるってなれば生駒くんも辞めたくなるかもしれないしねー」
悪巧みをする数人の女の子と嫌な笑い声。ピィちゃんはそれを聞いて怯えるように身を震わせた。
羽折と呼ばれた女の子がピィちゃんの籠を持ち上げる。
「ピィッ!ピィッ!」
抵抗するように激しく鳴き、怪我した翼を羽ばたかせる。
「ちょっ!うるさっ。暴れるなって」
ピィちゃんの抵抗に彼女は狼狽えた。
「あっ!」
ガシャンッ!!
床と籠の衝突音が部室に響く。手を滑らせてしまい持ち上げた籠を地面に落としてしまった。
「ピキュッ!」
叩きつけられるように落ちた拍子にピィちゃんが嫌な声で鳴いた。さっきまで激しく羽ばたかせていた翼がそのまま動かなくなる。
籠の中にあった水や食べ物がまるで血のように散乱する。
「やばっ」
「ちょっとなにしてんの!?ってか普通にやばくない?」
「変な声で鳴いたよ?」
「……」
反応を示さなくなったピィちゃんを見て、激しく動揺する彼女たち。
「と、とにかく逃げなくちゃ」
そう言ってそそくさと彼女たちは部室を出ていった。
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薄暗い校舎の1階、生物・飼育部と書かれたプラカードのある教室の前。蝉の鳴き声が仄暗い廊下に響き渡る。
7月、試験終わりの日曜日。有真たちがバードウォッチングに出かけ、雛子の涙が有真たちを助けたちょうどその時…
「ムカつくムカつくムカつく!」
「ねぇ今日急に呼び出してどうしたの?」
「羽折さん、生駒くんと遊び行くって言ってなかったっけ?」
複数の女生徒の声が廊下に木霊していた。
「遊びに行けなくなったのよ!ほんっとムカつく!あんだけ嫌がらせしてもアイツ、まだ部活やってるんだよ?」
その内の一人、羽折さんと呼ばれたリーダーっぽい女の子がキツそうな目をさらに釣りあげて怒りをあらわにした。
「えー、それな?」
「なんか根性あるよねー」
「今日だって生駒くんと一緒に部活で山まで行ってるらしい」
「まじ〜?山とかまじできつーい」
「それな?日に焼けるしよく行けるわ」
イマドキの女の子らしい会話。いや、少しませていてどことなく嫌な感じを持つ会話。
そのまま彼女たちは古びて壊れた鍵のついた生物・飼育部の部室を開ける。今は生物不思議研究部、通称『不思研』が部室として使っている場所。
「ピィッ?」
いつもと違う人達が入ってきて、ピィちゃんが不思議そうに鳴く。
「嫌がらせのレパートリーも尽きてきたじゃん?バレないようにやるのもなかなかムズいし」
「たしかに」
「言えてるー」
「こんなとこがあるのがいけないんだ」
部室に無断で入る彼女たち。
「部室、めちゃくちゃにしてやろーかなーって」
「えぇ?そんなことしたらバレるくない?」
「大丈夫、この鳥がやった事にすればよくね?テキトーに籠横倒しにして扉開けとけば逃げようとして暴れたって感じでるっしょ」
「めっちゃ頭いいじゃんそれ」
「でしょ?言うこと聞かない鳥がいるってなれば生駒くんも辞めたくなるかもしれないしねー」
悪巧みをする数人の女の子と嫌な笑い声。ピィちゃんはそれを聞いて怯えるように身を震わせた。
羽折と呼ばれた女の子がピィちゃんの籠を持ち上げる。
「ピィッ!ピィッ!」
抵抗するように激しく鳴き、怪我した翼を羽ばたかせる。
「ちょっ!うるさっ。暴れるなって」
ピィちゃんの抵抗に彼女は狼狽えた。
「あっ!」
ガシャンッ!!
床と籠の衝突音が部室に響く。手を滑らせてしまい持ち上げた籠を地面に落としてしまった。
「ピキュッ!」
叩きつけられるように落ちた拍子にピィちゃんが嫌な声で鳴いた。さっきまで激しく羽ばたかせていた翼がそのまま動かなくなる。
籠の中にあった水や食べ物がまるで血のように散乱する。
「やばっ」
「ちょっとなにしてんの!?ってか普通にやばくない?」
「変な声で鳴いたよ?」
「……」
反応を示さなくなったピィちゃんを見て、激しく動揺する彼女たち。
「と、とにかく逃げなくちゃ」
そう言ってそそくさと彼女たちは部室を出ていった。
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