一瞬だけれどこちらを向いたのだ。


やっぱりそうか。


福永が孤立しているにはちゃんと原因がある。


そしてそれはどうやら福永自身がなにかしてしまったようだ。


といっても萌が悪意を持ってなにかをするとは思えなかった。


きっとなにかの勘違いなどが生じているんだろうと、担任教師は考えた。


「もう少し、福永のことを気にかけてやってほしい」


そう締めくくった時には希はすでに話の興味を失い、再び自分の爪を見つめていたのだった。