その指先が大樹の頬に触れそうになった、そのときだった。


突然萌の視界が歪んだ。


グラリと体が揺れて、まるで足が地面にについていないような感覚を覚える。


「萌!?」


とっさに大樹が両手を伸ばし、萌はその腕の中に倒れ込んでいたのだった。