それがあと何日分なのかまでは、わからないけれど。


「これで、最後だから。誰も傷ついてないから」


希が隣から言う。


どういう意味だろう?


そう考えた次の瞬間だった。


柔らかな感触が唇に押し当てられていた。


そのぬくもりからどんどん生きるエネルギーが体内に入り込んでくる。


萌は大きく目を見開いてっその生気を吸い取った。


「大樹、これって」


唇がはなれた時萌の意識はハッキリとしてた。


痛みもほとんど感じることなく、苦しさも抜け落ちている。


「萌、大丈夫だから」


大樹より先に希に言われてハッとした。


今の命は希のものだと直感してしまったのだ。


「萌、明日大切なことがある。だからもう1日だけ、生きてくれ」