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病院のベッドで横になっている萌の意識は浮いたり沈んだりを繰り返していた。


受け答えができるのは1日のうちの数時間だけになり、あとの時間は意識が混濁した状態になった。


それは病気の悪化に伴い痛みが生じてきたためだった。


痛みを緩和するための薬品は、萌の意識を強制的に現実から引き離していく。


大樹からのキスを拒んだ萌に残された時間は、ごくわずかになっていた。


余命宣告されてから3ヶ月が過ぎ、その生命の灯火は今にも消えてしまおうとしている。


「萌」


愛しいその声に意識が急速に戻っていく。


夢の中を漂っていた萌はうっすらと目を開けた。


「大樹……」


名前を呼んだつもりだったけど、声はかすれて音にならない。


「萌、私もいるよ」


目だけで周囲を確認すると、そこには希の姿もあった。


私の大好きな人達が今すぐそばにいる。


それが嬉しくて少しだけ微笑んだ。


その弱々しい笑顔に大樹の胸はひどく傷んだけれど、どうにか顔に出さないように気をつけた。


「萌、頼む。もう1日だけ生きてくれ」


萌は大樹の言葉に返事ができなかった。


余命宣告された3ヶ月を過ぎて、それからまだ数日が過ぎて、自分の命はついに消えようとしているということだけは理解してた。