そう思った瞬間、萌の息が止まった。


ハッと吸ったまま吐きだすことができない。


心臓がバクバクと音を立てて、嫌な汗が背中を流れていくのを感じる。


男が履いている靴には見覚えがあった。


それは萌が毎日のように見ている靴で、今日も萌に優しく話かけてくれて、家まで送ってくれて……。


『実は昨日、大樹が他の女の子とキスしているところを見ちゃったの』


希の言葉が不意に脳裏に蘇る。


しかしこの写真を送ってきたのは希ではなく、他の子だ。


写真の他にメッセージもついていて《これ、やばいんじゃない?》と、焦っている絵文字つきだった。


希だけじゃなく、他の子も目撃しているということだ。


「希の意地悪じゃなかったの……?」


頭の中が真っ白になってなにも考えられない。


萌は力が抜けたように、その場に座り込んだのだった。