乳がん……それは女性に取って、とても残酷で辛い病気、症状なのかもしれません。
 男の僕には、女性の大事な身体の一部を、切除するかもしれないと思うと、胸が痛みます。

 パートナーである奥さんのことを心配して、割と若い頃から、定期的に乳がん検診を受けるように、提案していました。
 僕たち夫婦が選んだ病院は、名医と呼ばれる医師の方がいまして。
 奥さんはマンモグラフィーなどの検査をえて、最後にその名医に触診をされ、結果は問題なしとのこと。

 僕たち夫婦は安堵しました。
 信頼できる名医だと思います。

 しかし、その話を妻の母に話すと、
「え、あの先生に診てもらったの?」
 と絶句されました。

 理由を尋ねると。
「自分のお友達の旦那さんが、その名医といとこで昔から仲良くしていた」
「いとこの人曰く、幼い頃からものすごく性欲が強い」
「裏ビデオを収集するのが趣味で、たくさん持っている。同じ医者の一族だけど、毎回見せてくるのがおっぱいものばかり」
「会うたびに『ヘヘヘ、新作見てくぅ?』とすすめてくる」
「いとことはいえ、乳がんセンターに志望したのは、ひょっとして……」
 という裏情報を聞かされました。

 そのいとこも医師らしいですが、自分の奥さんには「あいつには診てもらうな」と注意されたそうな。

 僕はそんなことを聞いたら、恐怖を覚え、妻に「触診の際、変なことはなかったか?」と恐る恐る尋ねます。
「全然ないよ。すぐに終わった」
 と答えてもらったので、少し安心しました。
 奥さんは笑ってこう言います。
「多分、あれじゃない? 好みのおっぱいじゃなかったんだよ」
「……」

 妻は腕は確かだと言い、定期的に検診させてもらっております。