随分、昔の話です。
 何十年も前の。

 父方の祖母の親戚だったと思います。
 おばあちゃんの妹さんだったような……ちょっと記憶が曖昧です。

 普段は専業主婦をされていたらしいのですが、親戚が開業した小さな店で働いていたそうです。
 ただ、おばあちゃんが言うには、かなりずぼらな人といいますか。

 計算するのがすごく苦手で、面倒くさがりらしく。
 親戚が開業したということもあって、たくさんの身内が遊びに来ました。
 その他にもご友人や近所の人など。

 おばさんとしては、良かれと思い、
「おつり多めに渡しておくわ」
 なんて適当に計算して、多めにお釣りを返していたそうです。

 その噂は知り合いの人々へとすぐに広まり……。
 連日、おばさんに
「これ買うから、多めにちょうだい」
 なんて集まるのですが。
 おばさんは、人が良いので。
「いいよいいよ。持ってきな。多めにお釣りあげとくわ」
 と毎回レジからお金を他人にバラまいていたそうで。

 おばさんは元々親戚が開業したからと、手伝いみたいな感じで、レジ打ちしていたのですが。
 結果的に、お店にとっては、損失ばかり生む存在になっていきました。

 僕はこの話をおばあちゃんから聞いて、その後が気になり、質問しました。
「なにそれ。儲からないじゃん。どうなったの?」
「潰れたよ、一ヶ月で。ばあちゃんが店に行った時も、買った商品を上回るお釣り返してきたもん」
「借金しか残らないじゃんか……」
「そうよ、だから破産よ」

 起業した際は、身内に任せない方がいいのかもしれません。