同窓会の2時間はあっという間。
『宴もたけなわですが、
そろそろお開きでーす。食べ物
残ってないよな?えー、皆さん
写真を部屋ごとに取るので、
カメラ来たら、よろしくー!』
幹事から、
お開きの合図が聞こえて
部屋の中からは、
『えー、もう時間ー?』
『二次会どうする?行くか?』
賑やかな中に、
名残惜しそうな声がする。
「サユ、写真とるまでに、
入り口で寄せ書きするんだって!鳥嶋、マアヤも行こう!」
シュンが、
この部屋は最後になるはずだと
言うと、
ユカが通路に貼られた
大漁旗の寄せ書きを
示してきた。
受付係が黒のマジックを
何本も持って回るのも見える。
「ユカ、ちょっと、、」
わたしは
コソッと言って、
シュンがしていたみたいに、
人差し指と親指を丸く、
Cの字形にして合図する。
要は、御手洗いなのだけれど。
ユカが笑って察してくれて、
シュンの隣に陣取る
リリも、
笑って手を振る。
リリはあれから
今まで、
わたし達と鳥嶋と一緒にいた。
シュウジロウとマアヤは
ビールを片手に
最後に席移動をして行ってから
戻って来ない。
『二次会の会場はこちらー!』
居酒屋は、写真や寄せ書き、
二次会へ移動とか、
それこそヴィゴのサインなどで
人が世話しなく行き交って
混んでいた。
久しぶりに地元の同窓会に
直接参加している
わたしは、
二次会には参加しないで、
実家に帰るつもり。
「ユカの旦那さん、ちょっと
遅れるって言ってたっけ?」
腕時計で時間を確認しつつ、
居酒屋の奥にある
トイレに
わたしは向かう。
ユカが例のEV車を旦那さんが
運転して送ってくれるけれど、
ユカこそ二次会に出なくて
良いのだろうか?
「あ、トイレ並んでる。」
数人の女子が並ぶ。
そこそこ時間がかかるかもと、
後ろに加わろうとした時、
「外の共同トイレも使えるぞ。
2階の突き当たり非常階段前。」
横から男子の声がした。
「そうなんだ。ありがとう。」
ユカ達を待たせるのも悪いと
思うと、
あまり相手の顔も見もせず、
教えてもらった、
居酒屋の外へと1人で出る。
それが
間違いだったと気が付いたのは、
トイレの外へ出た
わたしを、
声の主が待っていたからだ。
「所沢くん。」
逃げてきたリリに、
警戒しろと言われたのを
深く考えていなかったと反省。
しつこく言い寄られたとの
リリの言葉を
思い出したせいで、
つい怪訝な声のままに
わたしは、
立ちはだかる
所沢マコトの名前を発した。
「竹花さーん。覚えたんだ。
俺のこと。なあ、同窓会、
久しぶりにヴィゴに
会えて、どうだったー?」
覚えていたんじゃなくて、
リリから聞いていたからだとは
言わない。
「会ってないから、全然。
トイレ、教えくれてありがと
う。じゃあ、行くね。」
ここは、相手にしないで
直ぐに戻ることを選ぶ。
「子ども野球してるから、
よく使うんだよ。打ち上げに」
それなのに所沢マコトは、
わざわざ
前を過ぎようとしたタイミングで
腕を伸ばして、
わたしを
壁に追い込んできた。
「そうなんだ。で、何。」
中学の自分なら
怯んだかもしれないけれど、
今のわたしは、
もう弱くもない。
強めにマコトを睨んだ。
マコトの視線が、
わたしの名札や指に絡んでくる。
それこそ指輪が無いことを
舐め回すみたいに。
「いやいや、久しぶりだからさ、
ちょっと話ていこーぜ。なあ。
竹花、結婚してないんだろ?
なんか都会の出来る女って、
感じ?いいなあ、なんかさ。」
「ちょっと退いてくれるない!」
しかも、
あからさまな下心を
隠しもしない。
わたしは、マコトが
突っ張る腕を
パシッと払った。
それでも言い寄るマコトに、
リリ言っていたことが
嫌でも解る。
「この後さあ、2人で飲まない。
この辺りでも、いろいろ
出来てるんだぜ。どう?」
仕方なくリリみたいに、
ユカ達に電話をしてマコトから
逃げようと思った時、
「ねぇ所沢、アンタ、痴漢じゃ
あるまいし、女子トイレの前に
居座るなよ。ジャマだから。」
前にある非常階段から、
女子にしては
威圧ある声が降ってきた!!
煙を燻らせて
階段を降りて来たのは
中学不良女子のリーダー、
「マコ様!」
中学時代と変わらない
金髪のロングパーマを靡かせて、
所沢マコトに殺気まがいの
睨みを利かせると、
マコが躊躇なく
所沢マコトの足横目掛けて、
自分のヒールを
踵から
ダアンっ!!と落とす。
「っ、マコか。わかったって!」
床に穴が開くかと思う響きに、
マコトは、
急いで居酒屋へと逃げた。
「、、、」
昔は世界が違うと
話さえしたことが無い相手。
そもそも中学合流組で、
マコ様は前半クラス。
後半クラスのわたしには、
接点もなかった。
それでも、
「えっとマコ様、ありがとうね。
ちょっと所沢くんに困ってた
から声掛けてくれて助かったよ」
「、、、、」
明らかに
助けてくれたのは間違いない。
素直に、お礼を言う。
けれど、マコ様は無言。
指に挟んだ煙草から
煙の香りがする。
「あ、なんだかマコ様、雰囲気
変わったかな?柔らかく、」
なんだか
やっぱり黙っているけれど、
マコ様に、わたしへの軽蔑とか
同情とかないのは
解る。
だから
じっとその顔をみていると、
マコ様が
わたしを見つめたまま、
「竹花さんこそ、変わった。
お洒落だし。所沢に、けっこう
キツく返してた。睨んでた。」
意外にも誉めてくれて、
照れてしまう。
「そっか。そうかも。仕事でも、
強引な人相手にするからかも。
、、マコ様と、話するのって
始めてだよね。嬉しいなあ。」
こんな風に、
素直に自分の気持ちも
前は口にしなかったと思う。
留学をしてからも、
わたしの性格は随分と変化して
いるのだろう。
マコ様に、もう一度お礼を
伝えて戻ろうとした時、
「、、、あたし、今、内田。」
マコ様が、出し抜けに
今の名前?を口にする。
たしか
マコ様の家は寺院で、
真田山マコだったから。
「あ、結婚してだよね。へえ」
マコ様のまっすぐな目に、
押されつつ、
記憶を拾って応えた。
でもマコ様の話は続いて、
「でき婚。旦那、レオだよ。」
意外な展開を見せてくれた?!
「ん、え、内田、内田レオ
く ん?!なの?マコ様?!」
急に投げられた驚きの告白に、
わたしは思わず固まってしまう。
あの、レオと!マコ様が!?
どこで?!
『宴もたけなわですが、
そろそろお開きでーす。食べ物
残ってないよな?えー、皆さん
写真を部屋ごとに取るので、
カメラ来たら、よろしくー!』
幹事から、
お開きの合図が聞こえて
部屋の中からは、
『えー、もう時間ー?』
『二次会どうする?行くか?』
賑やかな中に、
名残惜しそうな声がする。
「サユ、写真とるまでに、
入り口で寄せ書きするんだって!鳥嶋、マアヤも行こう!」
シュンが、
この部屋は最後になるはずだと
言うと、
ユカが通路に貼られた
大漁旗の寄せ書きを
示してきた。
受付係が黒のマジックを
何本も持って回るのも見える。
「ユカ、ちょっと、、」
わたしは
コソッと言って、
シュンがしていたみたいに、
人差し指と親指を丸く、
Cの字形にして合図する。
要は、御手洗いなのだけれど。
ユカが笑って察してくれて、
シュンの隣に陣取る
リリも、
笑って手を振る。
リリはあれから
今まで、
わたし達と鳥嶋と一緒にいた。
シュウジロウとマアヤは
ビールを片手に
最後に席移動をして行ってから
戻って来ない。
『二次会の会場はこちらー!』
居酒屋は、写真や寄せ書き、
二次会へ移動とか、
それこそヴィゴのサインなどで
人が世話しなく行き交って
混んでいた。
久しぶりに地元の同窓会に
直接参加している
わたしは、
二次会には参加しないで、
実家に帰るつもり。
「ユカの旦那さん、ちょっと
遅れるって言ってたっけ?」
腕時計で時間を確認しつつ、
居酒屋の奥にある
トイレに
わたしは向かう。
ユカが例のEV車を旦那さんが
運転して送ってくれるけれど、
ユカこそ二次会に出なくて
良いのだろうか?
「あ、トイレ並んでる。」
数人の女子が並ぶ。
そこそこ時間がかかるかもと、
後ろに加わろうとした時、
「外の共同トイレも使えるぞ。
2階の突き当たり非常階段前。」
横から男子の声がした。
「そうなんだ。ありがとう。」
ユカ達を待たせるのも悪いと
思うと、
あまり相手の顔も見もせず、
教えてもらった、
居酒屋の外へと1人で出る。
それが
間違いだったと気が付いたのは、
トイレの外へ出た
わたしを、
声の主が待っていたからだ。
「所沢くん。」
逃げてきたリリに、
警戒しろと言われたのを
深く考えていなかったと反省。
しつこく言い寄られたとの
リリの言葉を
思い出したせいで、
つい怪訝な声のままに
わたしは、
立ちはだかる
所沢マコトの名前を発した。
「竹花さーん。覚えたんだ。
俺のこと。なあ、同窓会、
久しぶりにヴィゴに
会えて、どうだったー?」
覚えていたんじゃなくて、
リリから聞いていたからだとは
言わない。
「会ってないから、全然。
トイレ、教えくれてありがと
う。じゃあ、行くね。」
ここは、相手にしないで
直ぐに戻ることを選ぶ。
「子ども野球してるから、
よく使うんだよ。打ち上げに」
それなのに所沢マコトは、
わざわざ
前を過ぎようとしたタイミングで
腕を伸ばして、
わたしを
壁に追い込んできた。
「そうなんだ。で、何。」
中学の自分なら
怯んだかもしれないけれど、
今のわたしは、
もう弱くもない。
強めにマコトを睨んだ。
マコトの視線が、
わたしの名札や指に絡んでくる。
それこそ指輪が無いことを
舐め回すみたいに。
「いやいや、久しぶりだからさ、
ちょっと話ていこーぜ。なあ。
竹花、結婚してないんだろ?
なんか都会の出来る女って、
感じ?いいなあ、なんかさ。」
「ちょっと退いてくれるない!」
しかも、
あからさまな下心を
隠しもしない。
わたしは、マコトが
突っ張る腕を
パシッと払った。
それでも言い寄るマコトに、
リリ言っていたことが
嫌でも解る。
「この後さあ、2人で飲まない。
この辺りでも、いろいろ
出来てるんだぜ。どう?」
仕方なくリリみたいに、
ユカ達に電話をしてマコトから
逃げようと思った時、
「ねぇ所沢、アンタ、痴漢じゃ
あるまいし、女子トイレの前に
居座るなよ。ジャマだから。」
前にある非常階段から、
女子にしては
威圧ある声が降ってきた!!
煙を燻らせて
階段を降りて来たのは
中学不良女子のリーダー、
「マコ様!」
中学時代と変わらない
金髪のロングパーマを靡かせて、
所沢マコトに殺気まがいの
睨みを利かせると、
マコが躊躇なく
所沢マコトの足横目掛けて、
自分のヒールを
踵から
ダアンっ!!と落とす。
「っ、マコか。わかったって!」
床に穴が開くかと思う響きに、
マコトは、
急いで居酒屋へと逃げた。
「、、、」
昔は世界が違うと
話さえしたことが無い相手。
そもそも中学合流組で、
マコ様は前半クラス。
後半クラスのわたしには、
接点もなかった。
それでも、
「えっとマコ様、ありがとうね。
ちょっと所沢くんに困ってた
から声掛けてくれて助かったよ」
「、、、、」
明らかに
助けてくれたのは間違いない。
素直に、お礼を言う。
けれど、マコ様は無言。
指に挟んだ煙草から
煙の香りがする。
「あ、なんだかマコ様、雰囲気
変わったかな?柔らかく、」
なんだか
やっぱり黙っているけれど、
マコ様に、わたしへの軽蔑とか
同情とかないのは
解る。
だから
じっとその顔をみていると、
マコ様が
わたしを見つめたまま、
「竹花さんこそ、変わった。
お洒落だし。所沢に、けっこう
キツく返してた。睨んでた。」
意外にも誉めてくれて、
照れてしまう。
「そっか。そうかも。仕事でも、
強引な人相手にするからかも。
、、マコ様と、話するのって
始めてだよね。嬉しいなあ。」
こんな風に、
素直に自分の気持ちも
前は口にしなかったと思う。
留学をしてからも、
わたしの性格は随分と変化して
いるのだろう。
マコ様に、もう一度お礼を
伝えて戻ろうとした時、
「、、、あたし、今、内田。」
マコ様が、出し抜けに
今の名前?を口にする。
たしか
マコ様の家は寺院で、
真田山マコだったから。
「あ、結婚してだよね。へえ」
マコ様のまっすぐな目に、
押されつつ、
記憶を拾って応えた。
でもマコ様の話は続いて、
「でき婚。旦那、レオだよ。」
意外な展開を見せてくれた?!
「ん、え、内田、内田レオ
く ん?!なの?マコ様?!」
急に投げられた驚きの告白に、
わたしは思わず固まってしまう。
あの、レオと!マコ様が!?
どこで?!