先生は、
ナガレの両親が離婚してたの
知ってたの?
うん、わたし、全然知らなかった。
えっと、
付き合ってから直ぐの頃に
ナガレが釣った魚を、
お父さんと持ってきてくれて
挨拶は
お父さんとは早々に
したんだよね。

あれもビックリしたかも。
だって、
確かに付き合って直ぐだよ?先生

それで
ナガレの家。部屋に
連れていってもらうように
なったんだけれど、、

今みたいに
働いてたりバイトしてないから、
外でデートってバイクに
なるでしょ?

夏はね
風に煽られて、
爽快なんだよ。

でも秋口なると、
さすがに寒いんだよね。
それもあったんだと思うな。

バイクの風が冷たくなると、
もっぱら
ナガレの部屋で
映画みるようになるんだよ。

そしたら
夕飯とか、
いつもお父さんがナガレの部屋に
持ってきてくれるのね。

ええー、先生それないよ。
息子が彼女連れ込んだら、
一応様子見に来るって?
イカガワシイことしてないか?

あのね先生、今思うと、
いろいろ、ゆっくりだったと
思う。

うー、先生に言う事でも
ないんだけれど、
ナガレとカレカノした
高校3年間で
最後までしてない、、、です。
うーーー、はずい。

それこそ
付き合うって事じたい
お互い初めてだから
凄く、ひとつひとつ進むって
感じ
だったかなあ。

高校の友達に、驚かれたもん。
一緒に部屋に居てて
してないの?って。
毎週部屋デートしてて
『手繋ぎ』までなのってね。

あ、先生が聞くからだよ!
微妙そうな顔しているけれど!
何きっかけなのかな。
部屋での感じ、
ちょっと進んだの。

あ、話、へんな方向に
いっちゃった。

とにかく、
お母さんの雰囲気が
全然ないなあって
不思議だなって思ってたら、
秋祭りの後で
ナガレが国道沿いの
飲み屋通りに連れてくれて。

先生、今はショッピングモール
立ってる場所の前にあった
夜のお店が並んでた処、
知らないかな?

わたし初めて、お酒飲むお店?
行ったの。
ナガレのバイクの後ろに
乗せてもらってなんだけれど。

え、わ、先生鋭いね。
そうナガレに言われたよ。

ナガレ、4月生まれだから
すぐにバイクの免許取った
みたいなんだけれど
2人乗りは1年しないと
ダメなんでしょ?

だからって、国道を走らないで
裏道の田んぼ道から
バイクに2人乗りをして
飲み屋通りに入ったんだよ。

さすがだね先生。抜け目ない。
でも、もう時効ね!
若気の至りなんだもん。

最初、
何処に連れていかれるのかなって
ドキドキした。
ナガレ、言ってくれたら
いいのに。

だって服とか
いろいろあるでしょ?
それにね、
スナックにね、
ナガレが凄く慣れた感じで
入って行くんだもん。
急に大人感?
焦っちゃうよ。

でも、
お店に付いて分かったの。
ナガレのお母さんが、
雇われママ?してる
スナックだったんだよね。

先生、マドンナ?っていうの?
そんなお姉さんも
初めてみたし、
カラオケでお姉さんが
叩くタンバリンとか、
お客さんの歌への合いの手?
なんだかいろいろ
凄かったよ。

すごく夜の世界って感じ。

あの頃は田舎しかしらないもん。
スナックぐらいしか、
夜のお店ってないから。

うん、そう。
お母さんに紹介するため
ナガレがスナックに連れてくれて、
そこで聞いたんだよ、
両親が離婚してるって。

うーん。確かにね、
部屋にご飯を持って来てくれる
お父さんは真面目な感じ。

スナックのお母さんは、
凄く派手で、
全然2人が夫婦だった
イメージが湧かないっていうか。

なんだろう、なんだか
それに、
カッコ良かったんだよね。
ナガレのお母さん。

どちらかといえば、
短めでパーマしたボブショートの
ヘアスタイルに、
ダブルのジャケットスーツを
お母さん、着てたから。

ちょっと普段みない
モスグリーンの夜の服と、
咥えた煙草とがね、
お母さん、
粋なママだった。

もしかしたら、あの時見た
お母さんのスタイルに
感じたのかもね。
ほら、高校が高校だったから
わたし。

あとね、
顔は、、やっぱり男の子って、
母親に似るのかな。

きっとナガレの性格は
お父さんで
見た目はお母さん似だね。

途中でね、
車を売ってる常連さんが来て。

ナガレ、
免許とるから車を相談したいって、
マドンナさん達と交えて
話をし始めた時かな。

ナガレのお母さんが、
フレッシュジュース作ってくれて
カウンターに2人だけに
なったんだよね。

そしたら急に、

結婚したのはいいけど、
家に縛られる性格じゃなかった。

でも、子供は可愛いし、
離婚しても
ナガレと妹さんには
店に来てもらって
会ってるんだよねって

そんな風に
ナガレのお母さん、言ってきた。

貴女はどうなの?って。

何故かちょっとドキってした。


先生、
わたしのスナックデビューって、
彼氏のお母さんへの御挨拶
イベントだったんだよ。

あれからだと思う。
ナガレがハグする様になったの。

ナガレの部屋で
映画見る間ずっと、
後ろから
わたしの事を抱き込むのが、
ナガレの部屋での定番に
なったのね。

そんな風に、ほんと。
ナガレと一緒に
『付き合う』ってことの
階段を登っていく?
みたいな
感じだったもん。