数日間、色々なことがあって学校に行けてなかった。
 俊君が学校側には連絡をしてくれているみたいだ。
「あ、斎藤さんじゃん……」
 ヒソヒソと聞こえるがなぜか皆、私ではなく七海を見ている。
「ねえ、芽唯。ちょっと話があるんだけど、いい?」
 何日も話していない七海に声を掛けられた。
「う、うん」
 とても緊張してきた。
 何を言われるか不安で仕方がなかった。
「……突然だけど、あたし転校することになったの」
 少し不機嫌そうに言う七海。
「え?それってどういう──」
「もう意味ないって知ったからよ。芽唯を虐めて何も得にならないこと今更だけど気が付いたの」
 私から目を背けた七海。
「……芽唯を虐めてたってことがバレて逆にあたしが散々な目にあったのよ。まあ、きっと芽唯が負った傷よりもずっとずっと浅いものなんだけどね」
 そう言って私には普段見せなかった笑顔を見せた。
「……謝ってもきっと許されることではないのはわかってるんだけど、ごめんなさい、芽唯。鬼頭君と仲良くね?鬼頭君に芽唯の傷は癒してもらうといいわね。じゃあね」
「うん、な、七海も元気でね……!」
 そう言って七海とは永遠に別れることとなったのだ。
 けれど、最悪な別れ方じゃなくてよかったと思う。
 笑顔も見れずに別れることもあったかもしれない。
 そう考えるとまだマシな別れ方だった。
 家に帰ればいつものように俊君が待っていた。
「おかえり、芽唯。姉の方とは綺麗さっぱり別れられた?」
「うん。七海が転校なんて驚いたよ。でも、これも俊君のおかげだね」
「そう?俺のおかげ?」
「うん!俊君がいなかったら最悪なままだったよ」
 俊君に出逢えたことに感謝しなくちゃいけない。