会場に入ると、見た目麗しいあやかしたちがグラスを片手に談笑していた。
もちろん人間もいるが、すぐにあやかしとの違いが分かってしまう。
人間の中では麗美は容姿のいい方だとは思うが、この中にいるとつんとそびやかしている麗美は少し醜く見える。
そこで、パーティーの中から玲央が出てきた。
「麗美ー!こっちにおいしいケーキあるぞー。行こう」
さすが玲央はあやかしで最も美しいと言われるだけあってあやかしばかりがいる空間でも際立っている。
「うん。じゃあ、お母さんお父さんちょっとあっち行ってくるね」
麗美が答えた。
美桜は、このまま麗美がどっか行ってくれればありがたいと思ったのだが、玲央が口を開いた。
「麗美、ちょっと待て。麗美のご両親たちにも話したいことがあるから両親方にも来てもらおう」
「それなら私たちも行きましょう」
母が父に声をかけた。
この空気だと美桜は行かずに済むらしい。逆に助かった。
あと、両親の表情がかすかに明るくなった気がしたので、援助金の話だろうなと察した。
美桜の家は決してお金に困っているわけではないのだが、もっと贅沢がしたいと鬼塚家から援助をしてもらっているのだ。
これを知ったときよく援助してくれたなと驚いたものだったが、花嫁の家が援助されるのはさほどめずらしくもないらしい。
鬼塚家は気前よく援助をしてくれたので、両親は調子に乗って援助金をさらに高額にしている。
これまでも断られなかったから今回も高くしてもらえると思いこみ、事前に吹き込んどいたのだろう。
事実、玲央は花嫁である麗美が可愛くて仕方がないのでその両親の頼みは断れないらしい。
今回も承知するだろう。
まあ、何はともあれ桜のところへ行けるので、桜を探すことにした。
会場内はなかなか広い。
30分も探しているのだが見つからない。
少し疲れたので近くの椅子へ行き休んでから、また探すことにした。
椅子に座り、一息ついたところで元気な声が上から聞こえてきた。
「おー、美桜じゃん!」
「桜か。ずっと探してたんだけど、どこにいたの?」
「あー、それはスマンスマン。私今さっき来たところなの。お父さんがさ、道間違えちゃって」
美桜はため息をつき、スマンを繰り返す桜を心の中で恨んだ。
「もーひどい」
少し不満を漏らすと、桜は笑って受け流し、席に着いた。
「まあまあ、ケーキでも食べようよ。少しでも楽しまなきゃ。こんなパーティー初めてだし」
美桜も切り替えて食べ物を取っていると、会場の扉が開いた音がしたと思ったら、あたりが一気に静まり返った。
「何これ、どういうこと?」
あたりが静まり返っているのでささやき声で尋ねると、桜も首をひねり、分からないという動作をした。
そんな会話をしていると二人の男性が会場に入ってきた。
彼らが歩き出すと、周りの者も自然と道を開けていく。
その中の一人の男性と目があった気がした。
もう一人の男性もこちらを見て―というより桜を見た気がした―驚いたような、喜びの色が宿った目をした。
二人がこちらにやってくる。
桜と目を合わせながら意味が分からないといった状態でいながらも、二人はなおこちらにやってくる。
そして、会場内がざわめきを取り戻した時、彼らはそろえてこう言った。
「「天龍都へようこそ」」
「「俺の花嫁」」
一瞬何を言われたのかわからず固まってしまったが、我を取り戻し、桜を見た。
桜も困惑している様子だが、美桜よりは少しだけ落ち着いているので、男性二人に尋ねた。
「どういうことです?私たちがあなたの花嫁ということは本当なのですか?」
男性たちはうなずいた。
「冗談でこんなことは言わない」
もう一人の男性がこちらに手招きし、こういった。
「ここは騒がしいから、一回外に出ないか」
本当に自分はこの人の花嫁なのだろうか。
美しい姿からして、この人たちは龍神に見えるが、美桜は妖術を持ってないし、桜は白髪や碧眼ではない。
もしかしたら嘘かもしれないと警戒しておくに越したことはない。
疑いながらも、とりあえずついて行くことにした。
もちろん人間もいるが、すぐにあやかしとの違いが分かってしまう。
人間の中では麗美は容姿のいい方だとは思うが、この中にいるとつんとそびやかしている麗美は少し醜く見える。
そこで、パーティーの中から玲央が出てきた。
「麗美ー!こっちにおいしいケーキあるぞー。行こう」
さすが玲央はあやかしで最も美しいと言われるだけあってあやかしばかりがいる空間でも際立っている。
「うん。じゃあ、お母さんお父さんちょっとあっち行ってくるね」
麗美が答えた。
美桜は、このまま麗美がどっか行ってくれればありがたいと思ったのだが、玲央が口を開いた。
「麗美、ちょっと待て。麗美のご両親たちにも話したいことがあるから両親方にも来てもらおう」
「それなら私たちも行きましょう」
母が父に声をかけた。
この空気だと美桜は行かずに済むらしい。逆に助かった。
あと、両親の表情がかすかに明るくなった気がしたので、援助金の話だろうなと察した。
美桜の家は決してお金に困っているわけではないのだが、もっと贅沢がしたいと鬼塚家から援助をしてもらっているのだ。
これを知ったときよく援助してくれたなと驚いたものだったが、花嫁の家が援助されるのはさほどめずらしくもないらしい。
鬼塚家は気前よく援助をしてくれたので、両親は調子に乗って援助金をさらに高額にしている。
これまでも断られなかったから今回も高くしてもらえると思いこみ、事前に吹き込んどいたのだろう。
事実、玲央は花嫁である麗美が可愛くて仕方がないのでその両親の頼みは断れないらしい。
今回も承知するだろう。
まあ、何はともあれ桜のところへ行けるので、桜を探すことにした。
会場内はなかなか広い。
30分も探しているのだが見つからない。
少し疲れたので近くの椅子へ行き休んでから、また探すことにした。
椅子に座り、一息ついたところで元気な声が上から聞こえてきた。
「おー、美桜じゃん!」
「桜か。ずっと探してたんだけど、どこにいたの?」
「あー、それはスマンスマン。私今さっき来たところなの。お父さんがさ、道間違えちゃって」
美桜はため息をつき、スマンを繰り返す桜を心の中で恨んだ。
「もーひどい」
少し不満を漏らすと、桜は笑って受け流し、席に着いた。
「まあまあ、ケーキでも食べようよ。少しでも楽しまなきゃ。こんなパーティー初めてだし」
美桜も切り替えて食べ物を取っていると、会場の扉が開いた音がしたと思ったら、あたりが一気に静まり返った。
「何これ、どういうこと?」
あたりが静まり返っているのでささやき声で尋ねると、桜も首をひねり、分からないという動作をした。
そんな会話をしていると二人の男性が会場に入ってきた。
彼らが歩き出すと、周りの者も自然と道を開けていく。
その中の一人の男性と目があった気がした。
もう一人の男性もこちらを見て―というより桜を見た気がした―驚いたような、喜びの色が宿った目をした。
二人がこちらにやってくる。
桜と目を合わせながら意味が分からないといった状態でいながらも、二人はなおこちらにやってくる。
そして、会場内がざわめきを取り戻した時、彼らはそろえてこう言った。
「「天龍都へようこそ」」
「「俺の花嫁」」
一瞬何を言われたのかわからず固まってしまったが、我を取り戻し、桜を見た。
桜も困惑している様子だが、美桜よりは少しだけ落ち着いているので、男性二人に尋ねた。
「どういうことです?私たちがあなたの花嫁ということは本当なのですか?」
男性たちはうなずいた。
「冗談でこんなことは言わない」
もう一人の男性がこちらに手招きし、こういった。
「ここは騒がしいから、一回外に出ないか」
本当に自分はこの人の花嫁なのだろうか。
美しい姿からして、この人たちは龍神に見えるが、美桜は妖術を持ってないし、桜は白髪や碧眼ではない。
もしかしたら嘘かもしれないと警戒しておくに越したことはない。
疑いながらも、とりあえずついて行くことにした。