美桜は駅から走ったので学校に間に合った。
(さくら)おはよう」
「おはよう」
 今あいさつを交わしているのは親友の桜だ。
「なんか今日美桜来るの遅くない?もしかして、またあの女にこき使われたの?」
 桜は美桜の家での扱いも知っているうえで親友のように接してくれている。
 だから今日の遅く登校したわけもピンときているようだ。
「麗美が今日文化祭らしくてさあ、そんなこと聞いてないのに朝たたき起こされて準備色々手伝わされたんだよね。こっちだって学校あるのにさあ」
 桜はいつも愚痴(ぐち)を聞いてくれる。
「うわっ、何なのあの女。我儘(わがまま)ったらありゃしないわ」

 キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン♪
「授業始めるぞー」

「そうだ、今日美桜に言っておきたいことがあったの」
 学校が終わり、放課後桜はそんなことを言い出した。
「何?」
 桜は気まずそうに打ち明けた。
「実はね、私,妖術持ってたみたいなの。結構遅い発覚なんだけど。だから、次の観桜パーティーに行くことになったんだよね」
 ええええ!
「やば、すごいじゃん!」
「でさ、ここからが本題なの。美桜の妹のクソ女もパーティーくるでしょ?美緒も家族枠(かぞくわく)で今年から出るって言ってなかった?いっしょに行けるかなって思って」
 そんなこと麗美から言われただろうか。
 記憶にない。
「あー、まだそんなこと言われてないや。去年に言ってたことだし、忘れてるんじゃない?あの子は鬼の花嫁なんだから家族が一人来てないことぐらいごまかせるでしょ」
 本来なら花嫁の高校生以上の家族も観桜パーティーに出席しなければいけないのだ。
「観桜パーティーって今週のい日曜日だから行くとしたら今日わかると思う。絶対行きたくないって思ってたんだけど、桜が行くなら行きたいし。じゃあ、明日知らせるね。バイバーイ」
「うん、美桜またねー」