足音がすると思ったら、まだ帰っていなかったのか桜が来た。
「あれ、美桜何してるの?とっくに帰ったかと思ったけど」
 桜の顔を見るとなんだか安心した気がしてボロボロ涙が出てきた。
「ちょっと美桜⁉大丈夫?聖等様を呼ば…」
「聖等は呼ばないで…」
 何かを察したのか、「わかった」とだけ言って、聖等に連絡してから車に乗せてくれた。
「何があったのか説明して」
 涙を流して途切れ途切れになりながらも抱き合っていたことや、キスしていたことについても話した。
 話していくうちに桜の目がどんどん吊り上がっていく。
「美桜は聖等様を信じないの?抱き合ってた、キスしてたってそういう風に見えただけでしょ!聖等様が好きなんでしょ?」
「…うん」
「だったら信じてあげなさいよ!好きなら貫いてよ!」
「…わかった。聖等と話してみる」
 屋敷に着いた。
 落ち込んでいた美桜をひっぱたき、聖等と向き合わせてくれた桜に感謝しながら、先刻よりもしっかりとした足取りで屋敷に向かった。