学校に行く途中の車内でさっきのことを報告すると、「私もさっきされたわよ」という答えが返ってきた。
「桜はどうしてそう平然としてられるの?」
「花嫁がいるんだからそうなるのは当然でしょう。私はもう天馬のこと好きだと思うし。逆にうれしいけどね」
 確かに桜は、一目()れとかが多かった気がする。
「どこが好きになったの?」
「イケメンなところ、優しいところ、後全部かな。あと私もう好きになったって伝えたし。」
 ええ!行動はや!
 地味に驚いていると、爆弾発言をしてきた。
「でもさあ、なんかキスされたって話してたとき美桜嬉しそうだったけど?好きなの?どうなの?」
「…多分好きだと思う」
「なんで多分なの?すごく好きそうに見えるけど?」
「だって、聖等が本当に私のことを好きなのかわからないんだもん。もしかして、私の妖術を利用しているだけで本命がいるのかなーて疑っちゃたりして」
 運転手に聞こえないようにささやき声で言うと、地味に引かれた。
「ええ、美桜ってそんなに疑うんだ。花嫁のことを裏切るわけないじゃん。それに、普通好きでもない人にキスなんてする?」
「しないと思うけど…」
「いい、美桜。信じ合わないと愛し合えないよ」
「それは分かってるけどねえ、あんなにイケメンなんだよ?恋人とかいそうじゃん!」
「まあいそうな顔してるけどねえ、そんなわけないっしょ」
「だよねえ」
 そうやって自分を納得させていると、学校に着いた。
 まさか聖等に恋人なんていないよね……。