12時。
美桜は昼ご飯を用意するためにあわただしく動いていた。
しかし、この後のことを考えると緊張してしまって、ドジばっかりしている。
ガシャン!
皿を落としてしまった。
確認したら、ヒビは入ってない。
家族は話に夢中で気づいていないようなので、ほっと溜息をつく。
そして昼ご飯を食べ終わると、話そうと覚悟を決めた。
美桜は両親の方へ向き、話し始めた。
「大事な話があります」
そこで麗美が口をはさんできた。
「大事な話って何なの、不吉なくせに!」
両親もあざ笑い、聞く耳を持たない。
なので、大声で言った。
「龍神の花嫁になれるみたいなの!」
麗美が顔をしかめてにらむ。
「はぁ、何言ってんの。妖術もないお姉ちゃんがなれるわけないじゃん」
両親も麗美に同調するのかと思いきや、真剣な顔で話を聞いてきた。
「どういうことか説明しなさい」
パーティーでのあれこれを話すと、両親の目が欲にまみれた。
「龍康殿様は援助して下さるのかしら?」
「龍康殿様は大きな会社も経営している。働かなくても済むかもしれない」
「美桜、それはぜひ花嫁となりなさい」
もし美桜が嫌だと言ったらどうするのだろう。
それでも無理やり花嫁にさせるかもしれない。
この人たちはいつも自分の利益のことしか考えていないのだ。
そう思うと、怒りよりも哀れになる。
麗美がそこで叫んだ。
「お姉ちゃんが龍神の花嫁?そんなわけないじゃない!あんな綺麗な人がお姉ちゃんのことを選ぶはずがないよ。そもそもお姉ちゃんはどんな妖術を持ってるというの?」
「私の妖術は」
ピ~ンポ~ン♪
言いかけたところでチャイムが鳴った。
「お姉ちゃん出て!」
美桜がドアを開けると、そこには…
「迎えに来た」
「龍康殿さん…どうして…」
龍康殿聖等がいた。
美桜の声を聞いて驚いた両親が急いで玄関に来た。
その後ろから、麗美も疑わしそうにやってくる。
「これが美桜の両親か?」
聖等は隣にいる天馬に尋ねる。
「そうです。そして後ろにいるのが妹のようです」
父は興奮気味に聖等に尋ねる。
「美桜が花嫁というのは本当ですか?」
「そうです」
そこで母が問う。
「おお、そうでしたか。この子は不躾なところがありますが、なにとぞよろしくお願いします。美桜が花嫁になったら援助はしてもらえるのでしょうか」
聖等が眉間にしわを寄せる。
その質問には答えず、美桜に視線を向ける。
「美桜、すまないが君のことを調べさせてもらった。この家で不遇な扱いを受けていたというのは本当か?」
何と答えていいのかわからず、俯く。
両親が慌てたように弁解を始めた。
「いやあ、そんなことはないですよ。この子は昔からあることないこと言って周りを驚かせるんですよ。そのことも美桜が周りに噓を言ったに違いない…」
「黙れ」
両親の言葉を途中で遮り、制した。
「お前らの意見なんか求めていない。援助だのなんだかんだ言っていたが、娘の意見も尊重できない、バカな親に援助してやるつもりはない。それに、美桜が望むのであればこの家を出て、俺の家で暮らしてもらう」
美桜は目をつぶり、しっかり考えてから口を開いた。
「私はこの家から出ます。不吉とか言われて生活するのはもう嫌!」
聖等はふっと笑みを漏らし、美桜に微笑みを投げかけ、両親を睨んだ。
「よく言えたな。では荷物をまとめて出るぞ」
それから、麗美のことも睨んだ。
「あとお前も美桜に相当な仕打ちをしたそうじゃないか。これ以上かかわるならば、鬼の花嫁もやめてもらうから覚悟しとけ」
美桜は最低限の荷物をまとめると、三人の恨みがましい視線を受けながら何も言わずに出て行った。
美桜は昼ご飯を用意するためにあわただしく動いていた。
しかし、この後のことを考えると緊張してしまって、ドジばっかりしている。
ガシャン!
皿を落としてしまった。
確認したら、ヒビは入ってない。
家族は話に夢中で気づいていないようなので、ほっと溜息をつく。
そして昼ご飯を食べ終わると、話そうと覚悟を決めた。
美桜は両親の方へ向き、話し始めた。
「大事な話があります」
そこで麗美が口をはさんできた。
「大事な話って何なの、不吉なくせに!」
両親もあざ笑い、聞く耳を持たない。
なので、大声で言った。
「龍神の花嫁になれるみたいなの!」
麗美が顔をしかめてにらむ。
「はぁ、何言ってんの。妖術もないお姉ちゃんがなれるわけないじゃん」
両親も麗美に同調するのかと思いきや、真剣な顔で話を聞いてきた。
「どういうことか説明しなさい」
パーティーでのあれこれを話すと、両親の目が欲にまみれた。
「龍康殿様は援助して下さるのかしら?」
「龍康殿様は大きな会社も経営している。働かなくても済むかもしれない」
「美桜、それはぜひ花嫁となりなさい」
もし美桜が嫌だと言ったらどうするのだろう。
それでも無理やり花嫁にさせるかもしれない。
この人たちはいつも自分の利益のことしか考えていないのだ。
そう思うと、怒りよりも哀れになる。
麗美がそこで叫んだ。
「お姉ちゃんが龍神の花嫁?そんなわけないじゃない!あんな綺麗な人がお姉ちゃんのことを選ぶはずがないよ。そもそもお姉ちゃんはどんな妖術を持ってるというの?」
「私の妖術は」
ピ~ンポ~ン♪
言いかけたところでチャイムが鳴った。
「お姉ちゃん出て!」
美桜がドアを開けると、そこには…
「迎えに来た」
「龍康殿さん…どうして…」
龍康殿聖等がいた。
美桜の声を聞いて驚いた両親が急いで玄関に来た。
その後ろから、麗美も疑わしそうにやってくる。
「これが美桜の両親か?」
聖等は隣にいる天馬に尋ねる。
「そうです。そして後ろにいるのが妹のようです」
父は興奮気味に聖等に尋ねる。
「美桜が花嫁というのは本当ですか?」
「そうです」
そこで母が問う。
「おお、そうでしたか。この子は不躾なところがありますが、なにとぞよろしくお願いします。美桜が花嫁になったら援助はしてもらえるのでしょうか」
聖等が眉間にしわを寄せる。
その質問には答えず、美桜に視線を向ける。
「美桜、すまないが君のことを調べさせてもらった。この家で不遇な扱いを受けていたというのは本当か?」
何と答えていいのかわからず、俯く。
両親が慌てたように弁解を始めた。
「いやあ、そんなことはないですよ。この子は昔からあることないこと言って周りを驚かせるんですよ。そのことも美桜が周りに噓を言ったに違いない…」
「黙れ」
両親の言葉を途中で遮り、制した。
「お前らの意見なんか求めていない。援助だのなんだかんだ言っていたが、娘の意見も尊重できない、バカな親に援助してやるつもりはない。それに、美桜が望むのであればこの家を出て、俺の家で暮らしてもらう」
美桜は目をつぶり、しっかり考えてから口を開いた。
「私はこの家から出ます。不吉とか言われて生活するのはもう嫌!」
聖等はふっと笑みを漏らし、美桜に微笑みを投げかけ、両親を睨んだ。
「よく言えたな。では荷物をまとめて出るぞ」
それから、麗美のことも睨んだ。
「あとお前も美桜に相当な仕打ちをしたそうじゃないか。これ以上かかわるならば、鬼の花嫁もやめてもらうから覚悟しとけ」
美桜は最低限の荷物をまとめると、三人の恨みがましい視線を受けながら何も言わずに出て行った。