平安時代。天上の世界にいたあやかしや龍神たちは、美しい地上の世界で暮らそうと天上から降り立ってきた。
 あやかしたちは、天龍都(てんりゅうと)を作りそこで暮らし、龍神は都のトップに君臨(くんりん)した。
 人間も天皇でさえ、あやかしや龍神(りゅうじん)の麗しい容姿に心酔(しんすい)し、天龍都の者たちはいつしか人間界でも高い地位を持つようになった。
 あやかしたちは人間からでも花嫁を選ぶ。
 しかし、誰でもいいというわけではない。
 妖術(ようじゅつ)。あやかしならだれでも持つ力。
 人間でもまれに妖術を持つ者も存在し、あやかしの花嫁となれるが、その中でも生まれながらの白髪と碧眼(へきがん)を持つものは、龍神の花嫁となれる。
 あやかしたちは花嫁のことを溺愛(できあい)し、人間も美しい彼らに愛されてみたいと憧れる。
 龍神。
 あやかし界でも人間界でも地位が高く、容姿端麗な一族。
 そんな彼らでもまれに人間から花嫁を選ぶ。
 龍神の花嫁は、女性が最もなりたいと思う憧れの的だ。