初めて会った時に一目惚れしてしまったからと、そう照れながら言われた。

 新婚の私の夫の紫電様は海神の中のお一人、尊い龍の化身だ。

 そんな彼から是非にと縁談を頂いた時、私や私の家族は喜びよりも先に、この事態のあまりのありえなさに畏怖を感じ身体が勝手に震えた。

 なんでも、私たち家族の住む標高の高い山に住む山神様のところに遊びに来た道中で、歩いていた私のことを一瞬だけ見掛けたらしい。