柚子は、学校中の生徒から無視されるだけでなく、本格的に嫌がらせを受けるようになった。
ある日、登校すると、教室には柚子の机がなかった。ビッチと落書きされて、ベランダに放置されていた机を、柚子はひとりで中に戻した。さらには、ビッチと書かれた柚子の顔と誰かの裸の合成写真を拡散された。
別れたにも関わらず、中庭で「嫌がる」碧斗ににべたべたしたことで、柚子はアバズレという烙印が押されることになったのだった。
碧斗は、話題の場所となってしまった中庭に行く気にならず、カフェテリアで自習をしていたが、ノートの数式は一向に解ける気配がなかった。昨夜、友人から例の合成写真を見せられ、削除するように言ったものの、すでにかなり拡散してしまっているようで、自分の責任を感じて落ち込んでいた。
碧斗目当てで、遠巻きに生徒が集まり始めた頃、碧斗の幼なじみがカフェテリアに飛び込んできた。ぼうっとしている碧斗の前のテーブルに勢いよく手をついて言った。
「柚子が暴れてる!」
「は?」
覚醒した碧斗に幼なじみが話して聞かせたところによると、性懲りもなく碧斗に会うため中庭に現れた柚子が、碧斗を煩わせるなと忠告した同級生に殴りかかり、取っ組み合いのけんかになっているというのだ。
テキストもノートも置き去りにして、碧斗は、幼なじみとともに中庭に向かった。
果たして、中庭では、柚子が同級生らしい女の子の胸倉をつかみ、いまにも殴りそうな状況だった。
「柚子みたいな自己中な女は、世の中の迷惑でしかないんだから」
柚子は鼻で笑って言った。
「その迷惑女を碧斗くんは好きだったんだから、情けないよね」
人垣の後ろで聞いていた碧斗の幼なじみは、隣に立つ碧斗の顔を見て、なぐさめるように肩をすくめてみせた。
「碧斗先輩はみんなに優しいの。虫けらみたいな柚子に同情しただけでしょ」
その瞬間、柚子の拳が頬にまともに当たり、同級生は倒れこんで泣き出した。
同級生を冷たく見下ろす柚子に、まわりで見ていた生徒たちが責め立てながらつめ寄る。一番近くにいた男子生徒につかみかかろうとする柚子。ところが、後ろから羽交い絞めにされてしまう。
「離してよ!」
柚子が鋭い目で振り返ると、後ろにいたのは碧斗だった。
一方的に柚子が暴れているかのように聞いていたが、柚子の唇からは血が出ていた。すでに何発かやられていたようだ。
ある日、登校すると、教室には柚子の机がなかった。ビッチと落書きされて、ベランダに放置されていた机を、柚子はひとりで中に戻した。さらには、ビッチと書かれた柚子の顔と誰かの裸の合成写真を拡散された。
別れたにも関わらず、中庭で「嫌がる」碧斗ににべたべたしたことで、柚子はアバズレという烙印が押されることになったのだった。
碧斗は、話題の場所となってしまった中庭に行く気にならず、カフェテリアで自習をしていたが、ノートの数式は一向に解ける気配がなかった。昨夜、友人から例の合成写真を見せられ、削除するように言ったものの、すでにかなり拡散してしまっているようで、自分の責任を感じて落ち込んでいた。
碧斗目当てで、遠巻きに生徒が集まり始めた頃、碧斗の幼なじみがカフェテリアに飛び込んできた。ぼうっとしている碧斗の前のテーブルに勢いよく手をついて言った。
「柚子が暴れてる!」
「は?」
覚醒した碧斗に幼なじみが話して聞かせたところによると、性懲りもなく碧斗に会うため中庭に現れた柚子が、碧斗を煩わせるなと忠告した同級生に殴りかかり、取っ組み合いのけんかになっているというのだ。
テキストもノートも置き去りにして、碧斗は、幼なじみとともに中庭に向かった。
果たして、中庭では、柚子が同級生らしい女の子の胸倉をつかみ、いまにも殴りそうな状況だった。
「柚子みたいな自己中な女は、世の中の迷惑でしかないんだから」
柚子は鼻で笑って言った。
「その迷惑女を碧斗くんは好きだったんだから、情けないよね」
人垣の後ろで聞いていた碧斗の幼なじみは、隣に立つ碧斗の顔を見て、なぐさめるように肩をすくめてみせた。
「碧斗先輩はみんなに優しいの。虫けらみたいな柚子に同情しただけでしょ」
その瞬間、柚子の拳が頬にまともに当たり、同級生は倒れこんで泣き出した。
同級生を冷たく見下ろす柚子に、まわりで見ていた生徒たちが責め立てながらつめ寄る。一番近くにいた男子生徒につかみかかろうとする柚子。ところが、後ろから羽交い絞めにされてしまう。
「離してよ!」
柚子が鋭い目で振り返ると、後ろにいたのは碧斗だった。
一方的に柚子が暴れているかのように聞いていたが、柚子の唇からは血が出ていた。すでに何発かやられていたようだ。