次の日から、穂花は学校に来なくなった。

 目論見通りだった。でも、覚悟をしていたはずなのに、ちゃんと心が痛む。

 そして数日後、穂花は学校を辞めた。

 目論見通りで恐怖すら湧いてきた。人僕は他人の人生を変えてしまった。

 これで良かったと、何度も機械的に自分に言い聞かせる。

 当事者がいなくなると、噂はぴたりと収まった。代わりに日野楓という人間はキレると何をするかわからないというラベルが新たに貼り直され、クラスの人間からは違う意味で一目置かれる存在になった。

 皮肉にも、居心地は前よりも良いものに変わった。

 穂花が学校を辞めてすぐ、いよいよ学年指導の人間がこの問題に介入し始め、いじめに関わっていた人間は次々に職員室に連行されていった。

 けれど、不思議と僕が穂花にしたことへの裁きは何も起きなかった。

 あの時僕も覚悟をしたのに、どういうわけか咎められることはなかった。けれど、あえて自分から深追いすることも、真実を打ち明けることもしなかった。

 何度も穂花の記憶を消してしまいたいと思ったけど、逆に罪の意識に押しつぶされそうになって、オンラインゲーム上でアカウントを探したこともあった。けれど名前を変更したのかアカウントを消したのか、結局見つけることはできなかった。

 その後、僕を含むクラスの人間は、まるで穂花という人間は存在しなかったかのように残りの学園生活を消化した。

 体育祭やクラスマッチで一致団結し、文化祭で出展を考え、修学旅行で一生の思い出を作った。けれど文化祭で何をしたのかや、修学旅行の行き先で何を感じたのかなど、詳しいことはほとんど記憶に残っていない。

 後悔なんて生優しい言葉じゃ責め足りない。あの日を境に、僕は自分自身に呪いをかけてしまったんだ。