次の日。

　教室に入ると、机の上には見覚えのあるカバンが置いてあった。

　チャックの持ち手には人気のアニメの主人公が飼っているワニのキーホルダーが付いている。

　誰のものかはすぐにわかった。

　持ち主はすぐに僕の前に現れた。

　「楓、そのカバン、私のなんだ」

　穂花は僕の顔を見ると、また申し訳なさそうに笑った。

　恐らく犯人か、そいつと連んでいた奴が、わざわざ被害者である穂花に教えたのだろう。

　教室中にいる人間が僕らに視線を向ける。

　吐き気がする。

　そんなに面白いかよ。

　困ったように作り笑いをする穂花の目に映る僕は、一体どんな顔をしているのだろう。

　別になんてことはない、カバンを手に取り、すぐに穂花に渡せば良いだけのこと。