少女にしては珍しく短髪で、皺の入った大きめのシャツを、グレーの作業ズボンにしまっている。
それをベルトでしっかり固定する出で立ちは、まるで少年である。
通い出して数年になる郵便配達の青年が、少年にしか見えない、その小さな家の主人の姿に気付いて、通りすがり帽子を軽く取って挨拶をした。少女ラビィも、泥だらけの手を軽く上げて応えた。
日頃から男性の恰好をしているせいか、中世的な顔立ちのせいか、ラビィは実年齢である十七歳には見えない。金髪金目で、元々の色素が薄いため、雪も降らないホノワ村では、珍しく真っ白な肌をしていた。
美人だった母親譲りの顔立ちは、手入れをすれば美少女寄りにはなりそうなのだが、本人が容姿に無頓着のため、その姿は、さしずめ十五歳のやんちゃな少年であった。
ラビィ、――自称ラビは、薬草を詰め込んだ籠を持ったまま、郵便配達の青年を見送った。
「最近は、まぁ慣れたもんだよなぁ」
彼女は、中世的な声色で、一人感心したようにそう呟いた。
すると、ラビの傍で『ふん』と答える低い声があった。
『あの驚きっぷりが良かったのに残念だ。最近は怖がらねぇし、見飽きちまった』
ラビの背後に回り込んだ大きな黒い狼が、長い優雅な毛を風に揺らしながら、青年の操る馬車を金緑の瞳で見送った。彼は頭の位置にある華奢なラビの腕に鼻を寄せ、毛並みの良い長い尾で彼女の肩を撫でる。
人語を話すその獣は、一般的に知られている大型級の狼を、更に一回り大きくした姿をしていた。その黒大狼は、ラビと共に育った『秘密の友達』であり、家族でもある。
それをベルトでしっかり固定する出で立ちは、まるで少年である。
通い出して数年になる郵便配達の青年が、少年にしか見えない、その小さな家の主人の姿に気付いて、通りすがり帽子を軽く取って挨拶をした。少女ラビィも、泥だらけの手を軽く上げて応えた。
日頃から男性の恰好をしているせいか、中世的な顔立ちのせいか、ラビィは実年齢である十七歳には見えない。金髪金目で、元々の色素が薄いため、雪も降らないホノワ村では、珍しく真っ白な肌をしていた。
美人だった母親譲りの顔立ちは、手入れをすれば美少女寄りにはなりそうなのだが、本人が容姿に無頓着のため、その姿は、さしずめ十五歳のやんちゃな少年であった。
ラビィ、――自称ラビは、薬草を詰め込んだ籠を持ったまま、郵便配達の青年を見送った。
「最近は、まぁ慣れたもんだよなぁ」
彼女は、中世的な声色で、一人感心したようにそう呟いた。
すると、ラビの傍で『ふん』と答える低い声があった。
『あの驚きっぷりが良かったのに残念だ。最近は怖がらねぇし、見飽きちまった』
ラビの背後に回り込んだ大きな黒い狼が、長い優雅な毛を風に揺らしながら、青年の操る馬車を金緑の瞳で見送った。彼は頭の位置にある華奢なラビの腕に鼻を寄せ、毛並みの良い長い尾で彼女の肩を撫でる。
人語を話すその獣は、一般的に知られている大型級の狼を、更に一回り大きくした姿をしていた。その黒大狼は、ラビと共に育った『秘密の友達』であり、家族でもある。