今日は、オーダーしていたドレスが届いたので、調整することになっていた。
私としてはきつくて入らなくてもダボダボでもどちらでもいいのだけど、そういうわけにはいかない。

加賀さんと共に試着室に入り、手伝ってもらいながらドレスを身に着けた。サイズは測ったのでピッタリだけど、装飾の少ないアンビールラインのライトな見た目のドレスにしてはずっしりと重かった。

「お綺麗ですね。今泉様はお肌が白いのでドレスがとても似合います」

お客さん皆にそう言うのだろうが、褒められて悪い気はしない。

「いえ……」

なんと返してよいかわからず、苦笑して見せた。

「本当に美しいです。お顔立ちも華やかなので、モデルさんのようです」

顔立ちははっきりした方だが、モデルと例えるのは褒め過ぎである。

「さぁ、お母様に見ていただきましょう」

「いえ、いいですよ」

母はひと月後、この姿を見ることができるし、心が見てもらいたいほど弾んでいないため、首を横に振った。

「そんなこと仰らないでください。開けますね」

加賀さんはそう言うと、私の答えも聞かぬうちに試着室のカーテンを大きく開けた。
しかたなく鏡から体を半回転させた私だったが、試着室の外にいた人物を見て目を見開いた。