それに、宗君と結婚できるなら、周りに“新郎に逃げられた花嫁”とレッテル貼られても、全然平気だ。
“正君の奥さん”と言われるよりも、断然いい。

「安心して、おばさん。周りのことは梨華が困らないように俺が動きます」

「そうよ、私たちも梨華ちゃんが辛い思いをしないようにフォローするわ」

おばさんは、頭を数回コクコクと縦に振った。

「どう?梨華。俺と結婚するのは嫌か?」

宗君が私の心を探るような視線を向けた。
反射的に頭を左右にフルフルと振ってしまう。

「嫌じゃないってこと?」

「……うん」

「じゃあ、結婚するよな?」

強引な台詞に胸がときめく。
なんだかひどく彼が私を求めているみたいな錯覚をおこしてしまう。