私の父は華道講座のテレビ番組を持つほどの有名な華道家であり、母の実家の花屋“belle”の経営者でもある。私はその一人娘で、“belle”で働く傍ら父のアシスタントをしている。

“belle”では、店舗で花を売るほか、冠婚葬祭用の花も取り扱っていて、私は今後ホテル・ブライダルの場で活躍できるのではないかと、外国語科の大学を出たばかりだ。

今泉家の発展のためこれから携わった事のない婚礼会場に“belle”を売り込んだり、生け花のよさを海外のお客さんに広めたいと意気込んでいたが、その必要はなくなるだろう。

必死にならなくてもこの先きっと安泰なはず。
それに、いつまでも好きに働けなくなるだろうから。